職場のコミュニケーション論

職場における、コミュニケーション由来のストレス解消の一助

ゲーム理論「エスカレーション・オークション」 リスクしかない仕事は早々に降りるのが正解

「リスクを恐れていては、何もできません!」なんてかっこいいセリフあります。

リスクを恐れていたら何もできないのは確かでありますが、やろうとしている事業のゲーム内容、つまり問題の構造を的確に捉えた上で、リスクしかない「絵に描いた餅」のような事業であったなら、初めからやらなきゃいいし、仕事が動き始めてからゲームの内容に気づいたなら、早々に撤退を検討しなければならんのです。

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「ゲーム理論」という“人や企業、国家など意思決定をする主体(プレーヤーと呼びます)が2つ以上の時のプレーヤーの意思決定や行動を分析する理論”があります。

ここで言う「ゲーム」は“世の中で起きている全ての問題”です。

かといって、「世の中の問題なんてゲームみたいなものだから、楽しみながらクリアしちゃおーぜ!」なんて事では決してなく、起こっている問題は、どのような構造・ルールに支配されているかという視点で捉えた問題の全体像を「ゲーム」と呼んでいるだけなのです。

例えば上司と部下の人間関係や家族間のトラブル、競合会社の出現で業績が上がらない問題も「ゲーム」と捉え、問題の構造や意思決定する主体間のに出来上がっているルールからプレーヤーの意思決定や行動を分析ができるのが「ゲーム理論」なのです。

 

 

このゲーム理論の種類で「エスカレーション・オークション」というゲームがあります。このゲームのルールは

一般的なオークションと違い、 競り落とした人の1つ前に競り値をコールした人も、コールした分のお金をとられるというルールになっています。 商品 が1000円で競り落された場合、その前に900円をコールした人がい たら、その人は商品を手にすることなく、ただ900円を払わなければなりません。(川西 諭. ゲーム理論の思考法 (中経出版) (Kindle の位置No.1684-1690). 中経出版. Kindle 版.)

 というもの。

 

このルールで100円のコインをオークションにかけた場合、利益を得るための最適な行動は「初めから参加しない」となります。負けてもコールした金額を払わなきゃならないのですから、勝つまで競りを降りられない泥仕合に巻き込まれるくらいなら、初めからやらない方がマシということです。

次に良い行動は「ゲームの構造に気づき、早々にゲームを降りる」。一番まずいのは「勝つまでやめない」。「いきなり初回から99円をコールして相手の参加意欲をなくす」手もありますが、相手がゲーム構造を理解してないで「100円!」なんてコールする人も出てくるかもしれません。そしたら泥仕合に一気に巻き込まれます。

 「エスカレーション・オークション」というゲームはリスクしかないので、いくら競りに出されている品が魅力的でも、不利益を被る可能性しかない事に気づき、ゲームには参加せず、もし参加してしまったとしても、早めに降りるのが賢明な選択なのです。

 

仕事でも「エスカレーション・オークション」状態なリスクしかない仕事というものは結構よくあると思います。

しかし、実際はゲームの構造に気づいてもなかなか降りれないのが現実かもしれません。魅力的に感じる仕事であれば「上手くやれば成功するかもしれない」なんて甘い期待をしてしまうのが人情ですが、「エスカレーション・オークション」状態であるならば、早々にゲームを降りるのが正解なのです。

 

 

(参考図書 ゲーム理論の思考法 (中経の文庫)